彼女の海岸線［１］

「ひどいですね。よくこれでプロを目指そうと思ったものですよ」
「へ？」

あたし、リナ＝インバースは彼の前で凍りついていた。

「メ……メタリオムさん？」
「ああ、ゼロスで結構ですよ」
あたしの原稿を冷たい目で読みながら、彼は言う。

「あの……あたし、『特別なみどころがある』んじゃなかったんですか？」
「ええ。この投稿作には光るものがありましたね。ただ、漫画の基礎的なものがなっちゃいない」
「なっちゃいないって……」
「線は荒いし、ストーリー展開は強引で説明不足、キャラクターの心も伝わってこない。正直言って、今のままではプロなんて夢のまた夢です」
「……ちょっと、呼び出しておいて、それはないんじゃないですか？」
「貴女の漫画が雑誌に載ることになったら、僕だけでなく何百万という人がこれを読むんですよ。僕一人だけに、これだけダメ出しされるようじゃ、いけないでしょう」
ゼロスは、原稿に目を通し終わると、あたしの大事な原稿を、ぱさっと喫茶店のテーブルの上に放り出した。あたしは慌てて、バラバラになった原稿をかき集める。

こ……この編集さん、自分がちょっと頭良くて顔もいいからって、あたしのこと馬鹿にしてるんだ。絶対そうだ。

話は２ヶ月前にさかのぼる。あたしは、今度という今度は！という自信作を持って、郵便局に向かっていた。折り曲げ厳禁、水濡れ厳禁。宛先の「少年コミック」を書くだけで、手が震えた。今までで取った最高のランクはＣランク。話に寄れば、最後まで描き上げてあれば、誰でもＣランクには入れてもらえるしい。しかし、今度の作品には自信があった。Ａランク、いや、もしかしたら佳作、もしかしたら入選……いやいや、夢を見すぎると後で痛い目に遭う。ここは、Ａランクで満足することにしよう。

そして、「少年コミック」の発売日。あたしは、祈る思いで「少年コミック新人大賞」のページを開けた。

　Ｂランク「夢見る少女の昼と夜」リナ＝インバース

ああ、あれでも、あんなに必死に描いても、Ｂランク止まりなのか。あたしは、本屋さんから家までどうやって帰ったのかも覚えていない。自分の部屋で、ベッドに突っ伏していたら、自然に涙が出てきた。テストも、宿題も、何もかもすっとばして描き上げたのに。もう、漫画家になるなんて夢は諦めよう。みんなと一緒に受験して、どっかの大学に入って、適当に就職して誰かのお嫁さんになろう。そもそも漫画家なんて、一部の選ばれた人がなれるもの。あたしなんて、お呼びじゃなかったんだ……。

泣き疲れて眠っていると、姉ちゃんの声に起こされた。
「リナ、電話よ。少年コミックの編集部の方ですって」
あたしはがばっと起きあがった。そして、廊下に出ると、震える手で受話器を取った。
「もしもし、替わりました。リナ＝インバースです」
「初めまして。『少年コミック』編集部のゼロス＝メタリオムと言います」
それからの話は早かった。要するに、あたしの原稿は今回こそＢランクだったけど、メタリオムさんから見て光るものがあったので、個人的に話がしたい、とのこと。待ち合わせの喫茶店の場所をメモしながら、あたしは顔が緩んでくるのを止められなかった。

ほら、ちゃんと、あたしの才能を見つけだしてくれる人がいる。

そのゼロス＝メタリオムさんは、さんざんあたしの原稿をけなした後、呑気に煙草なんて吸ってる。
「けなすだけなら……なんであたしを今日呼び出したりしたんですか」
「僕だって暇人じゃない。僕がただ貴女の原稿をけなしたと思いましたか？」
「うっ……」
確かに、ゼロスさんの言うことは、いちいち思い当たることばっかりだ。
「貴女の原稿は、基本はまるで出来ていない。言ってみれば、あなたは誰でも持っていて当然のものを持っていないんです。でも……」
煙を吐く。
「貴女は、誰にもないものを持っている。それを、埋もれさせたくなかったんです。それと……個人的に、貴女と会ってみたかった」
「え、え、ええっ！？」
「こんな乙女チックな原稿を描く方が、どんな女の子なのか知りたくて。いやあ、可愛いですね、リナ＝インバースさん。原稿の雰囲気にぴったりです。そのレースのワンピースなんて、まるで貴女の漫画から抜け出してきたみたいだ」
うう……このワンピースは、あたしの持ってるなかで、一番上等だから着てきただけなのに……。
「サイン会でもしたら、ファンが押し寄せるでしょうね。男性ファンも、女性ファンも。書店の階段に溢れる行列、列を整理するためにてんてこ舞いする店員さん……目に浮かぶようですね」
「あの……あたし、そんな漫画家になれるんでしょうか」
「なれますよ」
ゼロスさんは断言した。
「僕についてくれば。僕を信じてくれますか？」
真剣な、紫の瞳。
「あの……信じます」
「よかった。天才美少女漫画家の、第一歩ですね。それでは……」
にっこり笑ってゼロスは言う。
「今から一週間のうちに、この原稿、全面的に書き直して下さい」
「この原稿、描き上げるのに一ヶ月かかったんですけど」
「うちは週刊誌です。一ヶ月で描いてたら、間に合いませんよ」
そして、あたしの瞳を覗き込む。
「それにしても、どうしてうちに持ち込みを？貴女の作風なら、少女漫画の方が合ってるんじゃないですか？」
「う……やっぱり、ダメでしょうか」
「いえ。貴女のような作風の作品がうちに載ることは、新風を吹き込むという意味で、良いと思いますよ。それで、どうしてうちに？」
「あの、小さい頃から、姉と二人で、『少年コミック』ずーっと読んでたんです。だから、投稿するのも、ここ以外考えられなくて」
「良かった」
ゼロスさんは、煙草を消した。
「貴女を、よそに持って行かれなくて」
あたしは、何だか少し、顔が熱くなった。それを悟られないようにするのに、必死だった。

レジで、あたしの紅茶分を出そうとすると、ゼロスさんに止められた。
「経費で落ちますよ。それに、誘ったのは僕ですし」
「じゃあ、今日は本当にお世話になりました。えっと、書き直した原稿はメタリオム社のゼロス＝メタリオムさんに直接持っていけばいいんですね？……っと、メタリオム社？メタリオムさん？」
「ああ、この会社の社長は母のゼラス＝メタリオムです」
「えっ……それじゃ、御曹司じゃないですか。漫画の編集なんかより、もっと重役みたいな仕事をしてるものじゃないんですか？」
ゼロスさんはくすくす笑った。
「うちの母はスパルタ教育なんです。ちゃんと入社試験も受けさせられましたよ。僕は、漫画が好きなんです。若く、優れた才能を伸ばしていくのはやりがいのある仕事ですよ」
「あの、あたしも、漫画、好きです」
「そうでしょうね。あなたの作品から伝わってきますよ」
また、あたしの顔が少し熱くなる。
「一週間後を楽しみにしていますよ」
あたしと、ゼロスさんは駅で別れた。

「えーっ、描き直し！？リナさん、あれはぎりぎりまで精一杯描いたじゃないですか」
「ごめんね、アメリア。また、手伝ってくれる？」
「それはもちろん手伝いますけど……」
あたしの勉強机が、あたしの仕事場。アシスタントをしてくれるアメリアは、漫研の後輩で、小さなテーブルで、手伝ってくれている。
「なんたって、一週間しかないからね。テストも開けたばっかりだし、夜も手伝ってくれる？」
「まかせて下さい！」
ゼロスに言われたとおり、あたしの線は荒い。それを、出来るだけ丁寧になぞりなおしていく。トーンを丁寧に張り直す。
絵で何とか出来る部分はいい。
「主人公の気持ちが伝わってこないって言われたんだよねえ……」
「私には、充分伝わってきますけど……」
「それは、あんたがいつもあたしと一緒に漫画を描いているからよ。本当は、あたしのことなんか知らない、たくさんの読者に分かってもらわなきゃいけないのよね」
四枚。五枚。クライマックスシーンを何度も書き直す。
「ねえ、アメリア。どれがいい？」
「私には、どれも良く見えるんですけど……」
「そんなこと言わないで、ね、アドバイスして」
「うーん。強いて言うなら……」
がちゃ、と部屋のドアが開く。
「リナ、アメリアさん、ケーキと紅茶はいかが？一息入れた方がいいわよ。あと、窓も開けて。インクの匂いがこもっちゃってるわ」
「姉ちゃん……ありがと」
「ルナさん、おじゃましてます」
「アメリアさんも、こんな才能のない漫画家のアシスタントなんてしてないで、自分の作品でぱーっと花開いたら？」
「ル、ルナさん。私、リナさんには素晴らしい才能があると思います。それに、私の作品はまだとても人に見せるほどでは……」
「またまたー。この間見せてもらったけど、リナより上手いんじゃないかしら。リナも、うかうかしてるとアシスタントに追い越されるわよ」
「それはそうね。アメリア、負けないわよ」
「リナさんまで～。私なんて、まだまだですってば。それより今は、リナさんの原稿を描き直すのが先決でしょ？」
ルナはアメリアのテーブルの上の原稿を覗き込む。
「あらこれ、こないだまで描いてたやつじゃない。何で描き直してるの？」
「『少年コミック』の編集さんから、描きなおせって言われたの」
「ああ、あの電話の。綺麗な声の人だったわね。どう、顔はかっこいい人だった？」
「うん、すごく……って、何言わせるのよ、姉ちゃん」
「今時、出版社勤めって言えば堅実なエリートよ。リナ、射止めて見せてよ」
「もお。ゼロスさんには、きっと恋人がいるよ。それより、あたしには青春をかけた」
ばん、と机を叩く。
「漫画があるんだから」

一週間後。あたしは、メタリオム社のビルの受付で、ゼロスを待っていた。綺麗な受付のお姉さんが電話でゼロスを呼び出す。まもなく、ゼロスがあたしの前に姿を現した。
「『少年コミック』の編集部の方に行きましょう。そこで、原稿を拝見します」
一週間ぶりにみるゼロスは、やっぱりかっこよかった。

「うん……うん。良くなりましたね」
「ほんとですか？」
あたしは身を乗り出す。この一週間、ほとんど寝ないで描き直したのだ。誉められると、やっぱり嬉しい。
「この調子で、後一週間かけて描き直してくれればほぼ完璧ですね」
ずがしゃあっ。あたしはテーブルに顔を突っ込む。
「やだなあ、リナさん。せっかくの可愛い顔が潰れてしまいますよ」
「こ……こ……これ以上どこを描き直せと？」
「それは自分で考えて下さい。あ、アシスタントさんや友達に聞くのもダメですよ。とにかく３日くらいは、じっくり自分の頭で考えてみて下さい……リナさん？」
あたしは、涙を流していた。
「さっき、テーブルに突っ込んだのが痛かったんですか？」
「あたし、もう描き直せません！」
ゼロスは、黙ってあたしを見ている。
「この一週間、精一杯やりました。自分で言うのも何だけど、いい作品になったと思っています。いくら考えたって、これ以上は描き直せません」
「リナさん」
ゼロスは真剣な目をして言った。
「貴女は、『少年コミック新人大賞』でＢランクだったんですよ？あの時、入選者はいなかったが、佳作の人もいた。その人には、こんな風に連絡は取っていません。僕は、貴女には貴女にしかないものがあると思ったからこそ、賭けているんです。それとも……」
紫の瞳が、あたしの瞳を絡め取る。
「もう、あきらめますか？」
「いや。あきらめない」
「それでこそ僕のリナさんです」
僕の？……どさくさにまぎれて、とんでもないことを言ってるような気がする。
「後一週間、この原稿を直してみて下さい。連載作家になったら、一つの短編にこんなに時間をかけることなんて出来なくなってしまうんですよ。これは貴女の今後の試金石にもなる。やってみて下さい」
「わかった。ゼロスさん、あたし、やってみる」
「ゼロス、で結構ですよ」

あたしは、部屋のベッドにひっくり返って、何度も「夢見る少女の昼と夜」を読み返した。目が痛くなるほど、読み返した。でも、これと言った欠点は見つからなかった。
「うーん……」
あたしは、気晴らしに大好きな漫画家ガウリイ＝ガブリエフのギャグ漫画を読んだ。くだらないけど、面白い。何の気負いもなく読めて、げらげら笑える。何度読んでも飽きない。ひとしきり笑ってから、あたしはもう一度自分の原稿を読んだ。

なんて、下手なんだろう。

一見完成しているように見えるが、独りよがり以外の何ものでもない。主人公の気持ちなんて、これっぽっちも伝わってこない。脇役の動きもおざなりだ。絵も、自分では可愛いと思っていたけど、拙くて見られたものじゃない。
「……！」
あたしは、まっさらな原稿用紙を取り出した。それから、３日間、徹夜した。学校では、ひたすら眠った。先生に、チョークを何度もぶつけられた。
「リナさん、顔色悪いです～。手伝いに行きましょうか？」
アメリアが、心配そうに話しかけてくれる。
「ありがと。でも、これはあたし一人でやらなきゃいけないことなの」
「手伝えることがあったら、すぐ言って下さいね」
授業が終わると、あたしはあくびをかみ殺しながらうちに帰り、机に向かった。真っ白だった原稿用紙は次第に埋まっていった。

一週間が経った。あたしは、完全にリメイクした原稿を胸に抱いて、メタリオム社に向かった。ゼロスが、受付に姿を現した。
「玉稿、拝見します」
そう言って、ゼロスはにっこりと笑った。でも、今日のあたしは、そんなゼロスをかっこいいと思うことすら忘れていた。

「素晴らしいです、リナさん。僕の言ったこと、ようやく本当に分かってくれたようですね」
「ええ、ゼロス。あたし、この一週間で、なんか、ぐんと背が伸びたような気分なの」
「リナさんは小さいままですよ」
「例えよ、例え！それで、あたしのその原稿は……」
「今度の、編集会議にかけてみます。けっしてがっかりはさせませんよ」
「よかった。授業中ひたすら眠り続けて、家では徹夜した甲斐があったってもんだわ」
「ダメですよ、義務教育はちゃんと受けないと」
「……はっ？」

あたしは、ゼロスの車の助手席に座っている。窓の外を、街の風景がびゅんびゅん通り過ぎて行く。
「で？なんであたしのことを中学生だと思ってたわけ」
「それは、見た目が……その……若くてらっしゃるから、つい」
「要するに、ガキッぽいってことでしょ。あたしはれっきとした高校２年よ」
「それでも、授業と仕事の両立は大変でしょうね……」
「うん。あたしも、今のまま仕事を始めたら、学校に通い続けられる自信、ない」
「学校を辞めると言うことは？」
「姉ちゃんに殺されちゃうわ。それに、あたしも高校ぐらい出ておきたいし」
「分かりました。じゃあ、貴女が高校を卒業するまでは、連載などのハードな仕事は受けないようにしましょう」
「その間に、あたしより才能のある人がどんどん出てきたら？」
「何を言うんですか、自信を持って下さい。貴女の才能のきらめきは、特別なものですよ」
そして、運転しながら、あたしの横顔を見る。
「それに、あと一年で、貴女はより綺麗になるでしょうね」
「ま、漫画に容姿は関係ないでしょ？」
「いいに越したことはありません。ガウリイ＝ガブリエフさんなんか、あんなギャグを描いておきながら、本人はすごいハンサムなんですよ」
「それは、知ってる」
「ほう、どうして？」
「サイン会、行ったことがあるの。中学生の頃。漫画家になりたいって言ったら、ガウリイさんは、あたしの手を取って、キスしてくれたわ。これは、あたしの中で、大事なお守りになっている出来事なの」
「そうですか……ガウリイさんがそんなことを」

車は、海に向かっていた。助手席の窓から、水平線が見えた。
「どうして、あたしたちはドライブをしているの？」
「貴女が素晴らしい作品を描き上げたご褒美です」
人気のない入り江で、あたしは車を降ろされた。ロックをかけたゼロスが、後を追ってくる。
「海を見ると気持ちが落ち着くでしょう？」
「うん……ここ一週間、机にばっかり向かってたから、すごく気持ちいい……」
あたしの長い髪が、潮風になびく。ゼロスは、自然にあたしの肩に手を回した。
「やーだー、ゼロス、プレイボーイなんじゃない？」
「僕は恋には一途ですよ」
そして、あたしの頬に手を添えると、顔に顔を近づけた。あたしは思わず瞳を閉じる。
「やっぱり、近くで見ても美少女ですね♪」
ゼロスはけろっとした顔で言って、手を離した。こ、こいつわ～ぜったい！タラシだ！
「ゼロス、あたし、こう見えても身持ち固いんだからねっ！」
「それは偶然ですね。僕も身持ちが固いんですよ」
よく言うわよっ！
「それでは、何か軽く食べて帰りましょうか。お腹が空きましたし。奢りますよ」
らっきー！
「それも、経費で落ちるの？」
「は、はあ、落ちますが……」
「じゃあ、レストランへれっつごー！」
「リ、リナさん、何だか急に目つきが変わったような……」
ゼロスにさんざん奢らせて、あたしは満腹してゼロスの横の助手席に座っていた。
「ごちそうさま～」
「リナさん、いくら経費で落ちるとはいえ、あんまりですよ～」
「はあ、お腹が一杯になったら眠くなっちゃった……」
「寝る前に、貴女のお家をカーナビに入力して下さい。送りますよ」
最新式のカーナビにあたしのうちの住所を打ち込むと、あたしは眠りの中へ落ちていった。

夢の中で、誰かに、キス、された気がした。

気がつくと、あたしは、自分の家のベッドで横になっていた。
「え、え、どうなってんの？」
「やっと起きたみたいね、リナ」
姉ちゃんが、部屋に入ってきた。
「ゼロスさんって方が、あんたの目を覚ますのは可哀想だからって、二階まで抱え上げて下さったのよ。あんたったら、よだれ垂らして、全然起きないんだから」
「よ、よだれ？」
「跡になってるわよ」
あたしは、慌てて自分の口元をこする。
「ゼロスさん、『無理に連れ出した自分が悪いんですから』って言って、お茶も飲んでいかなかったわ。優しそうな人ね」
「……うん」
「あの人が、あんたの漫画を？」
「うん。編集会議にかけるって言ってくれた」
「ふふっ」
ルナは微笑む。
「あんたが漫画を書き始めたのって、ほんの子供の頃だったわね。『少年コミック』を切り取って真似して。それが、デビューできそうになるなんて」
「まだ分からないわ」
「ゼロスさんが言ってたわよ。『僕の編集生命にかけて、リナさんを一人前の漫画家にして見せますから』って」
「ふーん……あいつがそんなことを……」
「お姫様だっこもされたことだし、さしずめあの人はあんたの漫画の王子様ってとこかしら？」
「もお。姉ちゃんは好きなこと言って」
あたしは、膨れて顔を背けた。

[NEXT]

「彼女の海岸線」は、白倉由美さんという漫画家の作品のタイトルです。彼女の旦那様の大塚英志さんの短編小説のタイトルでもあるみたいです。この漫画家リナちゃんのモデルは白倉由美さんです。少年漫画雑誌（チャンピオン）にとんでもなく乙女チックな連載をしていた人なので……でも、けっして白倉さんの作品が下手だったと言っているわけではありません。それでは、今後ともよろしくお願いします。

ねお☆ゼロリナ推進委員会さまに投稿させていただいた小説です。実は、この小説書いたことをすっかり忘れていたんですねー。委員会様のページを見直して、「あれ？　こんなの書いたっけ？」と。不憫すぎます、この作品。でも、読み返してみると決して嫌いな作品ではないです。私の白倉由実趣味が炸裂してます。

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